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- SKD11 焼き入れ硬度の違いとは Part・2
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2024-12-06
カテゴリ:日々出来事・お知らせ
こんにちは、営業の矢野です
今週はやくも週末ですね~
今晩は忘年会のかたも多くて、早々に仕事切り上げられてみえるのでしょうか?
ぼくはまだまだしっかり仕事ですが
さて、先日、SKD11の焼き入れ硬度について少しお話ししましたね。
今日はそのつづき。
ぼくのブログを見てくれたひとから、質問がありました
「"SKD11は高温戻しで歪が出る"といわれますけど、それって精度・品質的にいいんですか?」とのこと。
あのブログを読んだらふつうにそう思うよね
ぼくらの会社ではSKD材の焼き入れ後の戻しは必ず”高温2回戻し”を指示する。
”高温2回戻し”をすることで熱処理で内部組織の残留応力を抜ききって、金属内部の組織の安定化をさせているんだ。
ちなみにこれをやるのとやらないのとでは、品質が格段に違ってくる。
ぼくらの製品は焼き入れ後、ほとんどが研磨やLAP加工などの精密仕上げ加工しなければならない。
ましてや鍛造型ともなれば、圧入や焼き嵌めなど残留応力との関係性が重要になってくる。
金型材料に下手に応力が残っていたら、圧入した瞬間に割れたり、
最悪、切削中に爆ぜてしまうことだってありえるんだ
そんなの製品完成どころではないよね。
だからぼくたちは熱処理に人一倍以上、シビアに考えている
本気で危ないからね。
それに冷間鍛造や精密プレス加工で使われるのに、完成品が0.05mmや0.1mmなど歪んでたら使い物にならないしね。
いってみれば、ぼくたちの仕事は熱処理歪みと応力との戦いといっても過言ではない!ってことかな。
なんか話がだいぶ横道にそれてしまったが・・・・・・・
つまり、同じ熱処理をするにしてもひと手間加えることでより良い製品に変わって、品質も安定したものが得られるんだよね。
「いいものには時間と金がかかる。」
そこは昔から変わらない原理原則みたいなもの。
なんにしてもSKD材で焼き入れするなら”2回戻し”は必ずやってほしいということです。
それではまた~
営業の矢野でした。
- SKD11 焼き入れ硬度の違いとは
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2024-12-02
カテゴリ:日々出来事・お知らせ
こんにちは、営業担当の矢野です。
いや~やっと冬らしい気温になってきましたね。
なかなか最低気温が10℃を下回らないので、今年は手袋&ダウンコートの出番はないかと思っていましたが
やっと今週からは出番がやってきましたよ
寒くなったと思ったのに、あと数週間で年が暮れてしまうとは・・・・・
季節感がなくなりますね
さて、今日はあるお客さんからのSKD11(SLD)材の硬度についてご相談を受けました。
「SKD11の硬度指示のなかでHRC60とか58とか、たまに62とかありますよね? あれってどこの数値が正解なんでしょうか?」
なるほど、なかなかいいところにご指摘がきたな
正解は・・・・・・・・・・・
どれも正解
硬度はどれも入るんです。
ただ、重要なのは ”どういった使い方をするか” なんだよね
ちなみにSKD11の熱処理はHRC60以上が「低温戻し」で、HRC60以下は「高温戻し」が一般的となる。
低温戻しの場合は、長期間での歪みは出難いが衝撃にもろいといわれる。
対して、高温戻しの場合は、長期間で見ると歪みは出るが衝撃に強いといわれる。
この違いって用途によっては決定的な差を生む。
ぼくたちの会社で作っている冷間鍛造の金型は、基本は”高温戻し”だ。
冷間鍛造で使う金型は膨大な荷重を受け止めて製品を成型する。
時には2000tを超える荷重を金属の塊で受け止めなければならない。
でも、その力をまともに受け止めて金型は持つんだろうか?
実際そうそうできるものではない。
ではどうするのか?
そこで僕たちの業界では ”金型に息をさせる” という言葉がある。
この息をさせる方法はいろいろあるんだけど、
SKD11の場合は高温戻しにすることで、材料に靭性を持たせて硬さと一緒に柔軟性を追加している。
この柔軟性を活かすことで、高荷重の力を分散させてうまく力を逃がしているんだよね。
つまりこれが ”金型に息をさせる” ということでもあるんだ。
これをすることで金型寿命は格段に変わってくる。
硬度の取り方で型構成も全然変わってくるから、硬度指定はとっても重要なんです!
図面製作者さんはよくよく気を付けて指定してくださいね!
焼き入れ硬度はいろんなところに密接に関係してくるので、また触れていきたいと思います。
それではまた! スタッフの矢野でした。
- 超硬ってどうなん?
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2024-11-06
カテゴリ:日々出来事・お知らせ
こんにちは、スタッフの矢野です。
今週は東京でJIMTOFが開催されていますね~
10年位いってないのでかなり様変わりしてるんでしょうか?
ぼくは土曜日に来場する予定なんですが、周りのお客さんも土曜日のひとがほとんど。
いや、なんか今回は・・・・激混みになりそうです。
さて、今日は超硬について少し。
以前、超硬金型を使うメリットを紹介したかと思いますが、超硬にも様々な種類があって用途に合わせた使い方が重要となる。
例えば、ドリルやエンドミル、スローアウェイチップで使われる超硬と金型で使用する超硬では求められる性能がまるで違う。
超硬メーカーも用途に合わせた成分の比率を変えているので、よくよくプロフィールを確認しておかないと最初から失敗する。
ちなみに超硬の主成分はタングステンとコバルト。
その他にもいろんな混ぜ物をしていたりはするけど、型寿命に起因するのはタングステンの粒子の大きさとコバルトの量。
コバルトはタングステンをくっつけるための接着剤のようもの。
このバランスが合う超硬が最終的に金型寿命を決める。
みなさん、金型に使う超硬ってなにを基準に選ばれていますか?
まずは”G5”相当からですかね?
次回はもう少し超硬の選定の仕方をお伝えできればと思います。
スタッフの矢野でした~。
- あるお客さんで
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2024-10-15
カテゴリ:日々出来事・お知らせ
こんにちは、営業担当の矢野です。
ブログの更新をサボっていたらあっという間に朝晩涼しくなりまして・・・・・
さて先日あるお客様から上下型の軸振れがうまく出ないとのご相談を受けました。
ダイセットの上下内蔵型から見直してみても軸ずれに繋がる要素がみつけられないとのことでした。
とりあえず、製品精度としては合格品も生産可能な範囲だったので続けていたようなのですが・・・・・・
ぼくが思うところ,プレス側のボルスタープレート、ダイセットのダイプレートがどうなっているのか気になるところです。
結構な年数やトライ&エラーを繰り返した量産機ですからね。
どこになにが潜んでいるかは詳しく見ないとパッと見はわかりませんからね。
次回ダイセットを下す際に確認しに行ってみようかと思っています。
恐らくプレッシャープレートかな?と思っています!
営業スタッフ、矢野でした。
- TiCコーティングのいいところ
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2024-10-03
カテゴリ:日々出来事・お知らせ
こんにちは、スタッフの矢野です。
今日は先日お話したTiCコーティングについて。
スチール材へのTiCコーティングのデメリットは熱処理歪みによる寸法精度の維持が難しいのは
ご理解いただけたかなと思います。
熱歪みに対する許容公差は各メーカーでまちまち。
実際、僕たち中央ダイスがお願いするメーカーさんは中部地区でも屈指の高精度TiC処理を
してくれますが、それでも0.01~0.03mmは歪み変形は覚悟します。
でも精度を犠牲にしてでも使いたい時があるほどCVD-TiCってPVD処理にはない魅力がある。
その最大の魅力は密着性。
PVDでもかなり密着性の良くなったものは多いけど、いざという部分ではやっぱりCVD-TiCが効く。
SKH51などのパンチピンやスリーブ、入れ子なんかはTiCコーティングはいいと思う。
お客さんでも意外と知らない人が多いのがCVD-TiCの付き回り性。
ぼくたちは超硬ダイスのニブによく利用する。
CVD-TiCはPVD系のコーティングに比べ、内径へのコーティングがしっかり入るからだ。
PVD系のコーティング範囲は内径の約1.5倍程度の奥行長さしかコーティング層がのらない。
つまり、内径が小さく、奥行きの長い絞り型やベアリング形状(ランド)がある金型だと要部にコーティングがのらないことがある。
当然、コーティングの効果は満足に得られないし、金型寿命も悪くなる。
その点、CVD-TiCは奥までしっかり処理されるので型寿命はよくなるのだ。
これらコーティングの用途を理解すれば、必要用途、要求される精度を明確にして、現状の材種やコーティングのミスマッチを改善し、
金型のランニングコストを大幅に減らすことも十分可能だということにもなるよね。
ぜひ皆さんも、いま使っている金型のコーティングを見直してみてください。
スタッフ 矢野でした。