こんにちは、営業担当の矢野です。
いや~やっと
冬らしい気温になってきましたね。
なかなか
最低気温が
10℃を下回らないので、今年は手袋&ダウンコートの出番はないかと思っていましたが
やっと今週からは出番がやってきましたよ
寒くなったと思ったのに、あと数週間で
年が暮れてしまうとは・・・・・
季節感がなくなりますね
さて、今日はあるお客さんからの
SKD11(SLD)材の
硬度についてご相談を受けました。
「SKD11の硬度指示のなかで
HRC60とか
58とか、たまに
62とかありますよね? あれって
どこの数値が正解なんでしょうか?」
なるほど、なかなかいいところにご指摘がきたな
正解は・・・・・・・・・・・
どれも正解単純に
硬度はどれも入るんです。
ただ、重要なのは
”どういった使い方をするか” なんだよね
ちなみにSKD11の熱処理は
HRC60以上が「低温戻し」で、
HRC60以下は「高温戻し」が一般的となる。
まあ、
オーステナイトやマルテン云々は詳しい文献にお願いするとして・・・・・
低温戻し(150~200℃)は
HRC62などの
高硬度や経年変化防止を目的にする場合に指定される。
一般的にはプレス加工、板物の抜きや成形型の金型に使われることが多い。
対して高温戻し(550℃)はHRC60以下の強靭性を目的にする場合に指定される。
主に鍛造成形型、熱間や温間、冷間鍛造の金型に使われることが多い。
同じ材質でも硬度を上げて
カチカチにして使いたいか、それとも靭性を持たせて
柔軟に使いたいか・・・・・・
硬度が高ければ
経年変化やエッジ加工に強いがその分
衝撃にはもろい・・・・・
靭性が
高ければ衝撃に強いが圧力変形や残留応力に弱い。
つまり硬度の指定はどちらに振るかで金型の性能に
決定的な差を生むんだ。
ちなみにぼくたちの会社で作っている
冷間鍛造の金型は、基本的に熱処理は
”高温戻し”だ。
SKD11に靭性を持たせることで
金型を柔軟にして、鍛造加工時の
荷重をイナすことが目的となるんだ。
鍛造で使う金型はとにかく
膨大なエネルギーを受け止めて製品を成型する。
時には
1000tを超える荷重を一つの
金型で受け止めなければならない
でも、
その力をまともに
受け止めてしまったら金型ははっきりいって持たない。
ではどうするのか?そこで僕たちの業界では
”金型に息をさせる” という言葉がある。
この息をさせる方法はいろいろあるんだけど、
SKD11の場合、
高温戻しにすることで
金型に
靭性を持たせて硬さと一緒に柔軟性を追加している。
この柔軟性を活かすことで、
高荷重の力を
分散させてうまく力を逃がしているんだよね。
つまりこれが
”金型に息をさせる” ということでもあるんだ。
これをすることで
金型寿命は格段に変わってくる!
だから
SKD11の
硬度の取り方って型の構成すらも大きく変えてしまう、
とっても重要な要素なんです!
設計さんや
型保全の担当者の
みなさん!よくよく
気を付けて指定してあげてくださいね!
それではまた! スタッフの矢野でした。